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遠近両用ソフトコンタクトレンズ治療について

人は近くを見ようとするとき、毛様体筋を収縮させて水晶体形状を変えることで、ピントが合うように「調節」します。この現象を近見反応と呼びます。この調節機能は若いほど強く、年を取るにつれて衰えていき、近くが見えづらくなります。これがいわゆる老眼です。この近くを見る”調節”がかかった状態では周辺部網膜の焦点ボケがより強くなり、近視が進行すると言われております。子供の時に「近くを見てゲームをしていたら眼が悪くなる」と言われたことはありませんか?これは都市伝説ではなく、実際に理屈の通ったお話だったというわけです。 遠近両用ソフトコンタクトレンズは基本的には”老眼治療用のコンタクトレンズ”ですが、これが近視進行抑制にも効果があることが報告されております。近くを見るときに水晶体を調節させるのではなく、コンタクトレンズを通して近くを見やすくしておくことで、眼が頑張らなくても近くが見える状態を作ってあげるという機序です。治療効果としては平均で約50%前後の近視進行抑制効果が確認されております。 2026年より、この遠近両用ソフトコンタクトレンズによる近視進行抑制治療が保険適応になりました。クーバービジョン社のマイサイトというコンタクトレンズです。コンタクトレンズの費用は別でかかりますが、眼科で行う検査などは保険適応で、他の治療と比較してもやや割安で治療ができるようになりました。

治療のメリットとデメリット

メリットの一つは保険適応になったことで、より初期治療として始めやすく、近視治療に少しでも興味を持ってくれるきっかけにもなると思われます。またソフトコンタクトレンズの装用になるので、異物感も少なく、一般的にコンタクトレンズをつけている感覚で治療を行うことができます。また他の治療とは異なり、治療を中止してもリバウンドが少ないこともメリットで、ご本人的な理由だったりコンタクトレンズそのもののトラブル等で治療をやめることになったとしても、それまでの治療効果は十分に担保されるという点は大きいです。 ただデメリットもあります。まずコンタクトレンズは1dayタイプのみとなるため、治療コストが安いと言っても年間にするとまずまずの費用がかかります。また同心円状のリング設計のため、コントラスト低下や光のにじみ等が気になることがあります。一番の懸念は日中にソフトコンタクトレンズを装用して過ごすため、実際には学校で何かあった際には自分で付け外しができなければいけません。8歳から使用可能とされていますが、小学生の子供が本当に管理できるのか、学校で遊んでいてゴロゴロするからと自分で取り外しなどができるのかなど、どうしても不安になる点は否めません。我慢して使用していると感染などの致命的な合併症を引き起こすリスクが高まります。もちろんコンタクトレンズを使用できなくなった時のために、眼鏡も常に持参しておく必要があります。コンタクトレンズ一般の合併症は当然伴うため、どれだけきれいに管理できても角膜感染症では失明のリスクがあり、角膜内皮細胞減少による角膜障害リスク、また将来的な眼瞼下垂やドライアイはほぼ必発といえる副作用で、必ずしも安全とはいえない治療ではあります。他のところでもお伝えしておりますが、コンタクトレンズのトラブルで不幸な転機をたどった症例の数々を経験してきた立場としては、やはりコンタクトレンズ装用は「自己責任」という言葉の意味が理解できるようになってからのほうが望ましいと常々考えております。

治療適応について

当院では近視進行抑制目的に遠近両用ソフトコンタクトレンズ装用について、以下のように適応基準を設けております。

・治療開始時に8歳以上であること
・屈折度数が-0.75D~-4.00Dまでの近視眼であること
・乱視度数が-0.75D以下であること
・自分で付け外しができること、装用ルールを守れること
・少しでも眼に異常があったらすぐに外す、再装着はしないという基本を守れること
・保護者による適切なサポートや管理が可能なこと
・定期的な眼科受診ができること(3か月に1度程度)
・「トラブルで見えなくなったら自己責任」の言葉の意味が理解できること

治療手順

1:適応検査(予約制)
視力検査や眼圧検査、MYAHによる眼軸長測定、角膜内皮細胞検査に加え、眼底検査ならびに広角眼底カメラやOCTでの網膜の評価等を行います。検査で問題なければコンタクトレンズの付け外し練習などを行います。

2:コンタクトレンズオーダー
治療を開始するにあたって、ご本人の眼に合う度数のソフトコンタクトレンズを1か月分オーダーします。レンズはクリニックでのお渡しとなりますので、届き次第ご連絡させていただきます。

3:治療開始後の検診
治療開始すぐでは、まず1週間後、1か月後に眼の一般的な診察をさせていただき、何かトラブルが起きていないか、上手にコンタクトレンズを取り扱いできているかどうかなどを確認します。問題がなければ3か月に一度程度の定期診察を行います。普段の診察では視力検査や眼軸長測定検査、眼の診察などを適宜行い、治療効果について評価をしていきます。

治療費用

遠近両用ソフトコンタクトレンズによる近視進行抑制治療は保険適応の範囲で可能です。コンタクトレンズ装用に伴うトラブル等に対しても保険適応での対応が可能です。ただし他の自費診療を組みあわせて行っている場合には、すべてが自費診療となるのでご留意ください。 また認可されたソフトコンタクトレンズはクーバービジョンのマイサイトですが、同様の仕組みであれば近視治療についてほぼ同じ効果が得られると考えております。特に子供たちには少しでも性能の高いレンズを使ってほしいという想いから、当院では1dayアキュビューオアシスMAXの遠近両用レンズでの対応のみとさせていただきます。また近視抑制治療という特性上、処方箋発行のみの対応は承っておらず、原則として当院からの購入(後日郵送)となります。予めご了承ください。

治療用遠近両用ソフトコンタクトレンズ費用
・1dayアキュビューオアシスMAX マルチフォーカル
 30日分 16500円(両眼・税込)
 90日分 46200円(両眼・税込)