裂孔原性網膜剥離とは
裂孔原性網膜剥離の症状
網膜剥離を発症する前に、後部硝子体剥離や網膜裂孔の形成により飛蚊症や光視症を自覚することがあります(無症状のこともあります)。網膜剥離が進行してくると、剥離した部分の網膜は機能せず、その部位が見えないので、徐々に視野が欠けてきます。
治療法について
基本的に手術治療が必要です。眼の中の状況によって、網膜復位術(強膜バックリング)や硝子体手術が行われ、また網膜剥離の状態次第では両方を行うこともあります。網膜復位術は網膜裂孔に相当する部分に冷凍凝固を行って剥がれにくくし、さらに眼の外側からあて物をして硝子体の牽引を和らげることで網膜の復位を目指します。比較的若年の方の網膜剥離はこの方法を選択されることもあります。硝子体手術では網膜を牽引する硝子体そのものを手術で取り除き、眼の中から空気を入れて膨らませることで網膜を基の位置に戻し、レーザー治療などで裂孔の周囲を固めてくる方法です。どんな網膜剥離にも適応のある手術であり、現在の主流の方法と言えます。ただ術後にレーザーののり付けが固まるまでの間、すぐに剥離してこないように、眼の中に空気や特殊なガス、またシリコーンオイルといった物質を眼内に注入して手術を終えます。オイルやガスによって裂孔周囲や黄斑部付近をしっかり支えてくれる必要があり、1週間から10日間前後(場合により異なります)、うつ伏せや下向き、横向きなど姿勢の体位制限が必要になります。姿勢はその時々で変わるので、術後の指示に従ってください。


術後の注意点
網膜剥離の手術直後では、まだ網膜が完全にくっついているわけではなく、固まるまでにはしばらく時間がかかります。少なくとも2週間くらいはできるだけ安静にしていただく必要があります。 また眼内に空気やガスなどが入っている際には、前述のような体位制限はもちろんですが、しばらくの間、飛行機に乗ったり、非常に標高の高い山に登ることなどができません(極度の気圧低下がダメ)。一般的な空気で3週間くらい、ガスは種類によりますが1~2か月くらいかけて徐々に吸収されて抜けていきますので、完全に無くなるまでは飛行機への搭乗は絶対にやめてください。またシリコーンオイルの場合には自然には吸収されないので、網膜剥離がしっかり治って安定した段階で抜去する手術をご相談することになります(非常に難治な網膜剥離の場合は長期間ずっと入れっぱなしにすることもあります)。
術後の見え方や予後など
網膜は神経の膜であり、一度剥離すると大ダメージで、元通りの機能回復は困難です。手術で網膜が復位したとしても、見えづらさや歪みなどが生涯にわたって残存することが多いです。特に黄斑部まで剥離が及んでしまうと、後遺症が強く残ります。網膜剥離は放置するとほぼ失明に至る病気であり、失明をできる限り防ぐことが手術の主な目的になりますのでご留意ください。 また網膜剥離は非常に再発率の高い病気であり、一度復位できたとしても、また再剥離してしまうリスクがまずまずあり、その際には追加手術をご相談することになります。特に大きい裂孔がある場合や裂孔が複数の場合、下方の裂孔が原因の場合に剥離が再発しやすいと言われております。 当院では網膜剥離の患者さんにはできるだけ早期(受診当日は難しいです)の手術をご相談させていただきます。急な手術対応になるため、多くの場合で夜間や時間外の臨時手術になることが想定されますので、ご理解いただけますようお願い申し上げます。なお入院治療を希望される方には、他施設へのご紹介とさせていただきますので予めご了承ください。