神経眼科疾患について
神経眼科疾患はよく「難解な分野」と言われ、一般眼科医からみても敬遠されることがあります。基本は診断がメインで、治療を頑張ってもなかなか期待通りにスッキリはいかないものが多いという側面もあります。たとえば眼瞼下垂や複視(二重に見える)、まぶしさや異物感など、よくありそうな訴えの中にも背景に何かが隠れていることもあります。まず最初の診断のためには、眼を見るだけではなく、時には血液検査であったり、CTやMRIといった画像検査であったりなど、眼科以外の分野における検査が必要になることも多々あります。そうした意味においても、すぐに診断がついて治療が始まるような病気ではなく、いろんな検査を統合しながら、ご本人の抱える病気を探っていくというステップが必要です。このページでは神経眼科の中でもほんの一握り、比較的遭遇しやすい疾患をご提示させていただきます。 院長は日本神経眼科学会の認定相談医を取得しており、神経眼科分野における知識のアップデートなど自己研鑽を鋭意継続しております。何か気になることなどがあれば、お気軽にご相談いただけたらと思います。ただ当院でも眼科領域の検査は可能ですが、CTなどの画像検査や特殊な検査などはクリニックで対応が難しいケースもあり、必要に応じて総合病院などへご紹介させていただくこともありますので、あらかじめご了承ください。
視神経疾患
視神経疾患で主なものに視神経炎と虚血性視神経症が挙げられます。いずれも「急に見えなくなった」「急に暗くなった」というようなエピソードを訴えることが多いです。 視神経炎はこめかみの奥の”痛み”や眼を動かした際の”痛み”を伴うことも多く、原因不明で発症することもあれば、免疫学的な特殊な抗体を持っていたり、脳や脊髄など含めた全身疾患を併発していたり、また薬剤性やワクチン接種などを機に発症したりなど様々です。眼科での検査のほか、血液検査やMRI検査などが診断に有用な場合があります。治療はステロイド治療がメインですが、状況によっては血漿交換療法など他の込み入った治療を検討したり、逆に無治療で経過観察を勧める場合もあったりなど、その時々に応じた対応が必要です。視力予後はほぼ寛解から失明まで様々です。 虚血性視神経症は視神経の血流不全が原因で起こります。多くは”非動脈炎性”といって痛みがないケースで、高血圧や糖尿病などの全身疾患や、夜間低血圧などとの関連が指摘されていますが、詳しくはまだ分かっておらず、治療法も確立されていません。症状として、特に下方視野欠損を生じやすいことが特徴的です。ただ中には痛みの伴う”動脈炎性”と呼ばれるものもあり、全身精査とともに、ステロイド治療などの消炎治療をお勧めすることがあります。

眼球運動障害
薬剤性疾患
薬剤性とは、特に他科での内服薬の副作用などで眼に症状が現れることがしばしばあります。とくに有名なのが肺結核等で投与されるエタンブトールによる視神経症で、長期的に投与することで見えづらくなってしまうことがあります。投薬を中止することで回復を期待しますが、後遺症が残るケースもしばしばです。 また近年では特に睡眠薬や精神安定剤、また整形外科での痛み止めの内服などで、「異物感」「まぶしさ」「眼を開けているのがつらい」「何となく眼が乾く」などの症状で、漫然とドライアイの点眼薬を使用しているケースを経験します。外来で瞬目テストといってまばたきをしてもらうと、どこか不自然で努力性にまばたきをしようとしていることが多いです。薬剤性眼瞼痙攣と呼ばれ、簡単にいうと”まばたきが下手になる”状態のことです。もちろん薬剤が原因の場合には、すべて中止することができるに越したことはないですが、なかなか難しい場合がほとんどだと思います。治療としてドライアイ点眼でお付き合いできるならOKですが、症状が軽快しない場合にはボトックス注射といって眼の周りの皮下に片目で6か所ずつ注射をすることで、3か月程度ですが症状の”軽快”が期待できます(完治は困難です)。